不思議だ。
ジローからも組長さんとゆうみは昔から不仲だったと聞いているけれど。
ああして見ると、ちゃんと親子にも見えるから。
「あ、でもこれだけは言っとくかな」
すると彼は空いているほうの左手で飄々と。
“ニコはお酒ナシ。まちがっても飲んだりなんかしたらぶっ飛ばすよ”
「……………」
あれはぜったい、ステージから離れた端に立った私への完全なる嫌がらせだ。
乾杯の挨拶すらきっとろくにしていないくせ、そういうところは徹底してくる若頭。
「おい、あの子はどこの子や?」
「たしかに見ない顔だな…」
「まだ若いようだが……まあ、誰かの娘なんじゃないか?」
ほら、そういうことするから注目されちゃう…。
できるかぎりひっそりコッソリ、私は今日という日を乗りきりたかったのに。
「ってことで、はいかんぱーい」
そして忘れられないパーティーがいよいよ始まった。



