「んでもゴロー、おまえだけは事故るなよ」
「む、むむむ無理っスぅぅ……。供給が半端ねえっスよぉぉ…っ、ここまできたらもうゴローでもハチローでもなんでもいいっスオレ……」
あ、車のスピードが遅くなった。
かもしれない運転、左右の確認。
大切だよジロー。
「おい憂巳、挨拶しろ」
「挨拶?別にそんなのいらないでしょ」
「この機に及んでなに言ってやがんだテメェは」
「挨拶ってなに?日頃の感謝でも述べればいーって?」
「…そうだ」
「感謝?どーせ俺たちは癒着しあってる関係なわけだし、改まってそんなことする必要あんの?
だってこいつら全員、俺たちがいないと困るからこんなパーティーにわざわざ足運んでまで良い顔しに来てるんだろ」
大きなホール、バイキング形式に揃えられたお酒や食事、天井には繊細かつ豪快なシャンデリア。
パーティーが始まる手前でまさか親子喧嘩の前兆が訪れていることは、私ですら察した。



