(あ、今日は矢野さんだ…)
放課後のホームルーム時にはすでにお迎えの車がある。
高校生にもなって送り迎えだなんて、普通であれば恥ずかしさのようなものが生まれそうだけど…。
私は障害を持っているからと、クラスメイトたちも無言の理解を示してくれていた。
「ニコちゃんニコちゃん」
明日から私たちと一緒に帰らない───?と、代表して伝えてくれたのはセイちゃんだった。
「ほら、寄り道とかしたいし!一緒にJKっぽいことしたいなーって!」
「カフェ寄ったりカラオケ……は、厳しいかもだけど!プリ撮ったりしよーよ!」
「いいねいいね!」
おうちの人に伝えてみるねと、笑顔を振り撒いておく。
おうちのひと───とりあえず矢野さんに今日にでも言ってみよう。
ゆうみは当分は忙しくしていてまた屋敷にも戻ってこないし、彼の目は今は無いようなものだ。



