「てかさ、ユウミ様のメッセージアプリのIDとか教えてもらえたりしない!?」
「それあたしも思ってた~!ニコちゃんなら繋げてくれるかも!」
「ねえねえニコちゃん!」
満面の笑みを向けてくる1人が、私にメッセージを送ってくる。
文字を読んでから思考が止まってしまう。
「ニコちゃん…?」
やだ、だめ、できない。
否定ばかりがあたまを埋め尽くしては、大切なお友達に良い顔ひとつも見せられやしないんだ。
【ごめんね…。そういうの、仕事柄もあって簡単に教えちゃダメって言われてて…】
「…なぁ~んだ、ざんねーん」
「まあ仕方ないよね~。私たちもちょっと強引だったよね。ごめんねニコちゃん」
一瞬、みんなの視線が針のように鋭くなって、私の心を小さく小さく打ち付けてくるみたいだった。
ほんのわずかだったから気にしなかったけれど、小さな攻撃は回数を重ねればやがて大きな傷となること。
はたまたいつか糸のようなものがプツリと切れてしまって、取り返しのつかない大事に変わって向かってくること。
このときの私はまだ、なにも知らない。



