「それにしてもいいなあ~。ユウミ様がお兄ちゃんだなんて!!」
「ほんと。毎日毎日あんなイケメンが家にいたら、彼氏とかいらないよねー」
「でもあたしは兄妹は嫌かも。ぜったい好きになっちゃうし?それって禁断になるし…!!」
私とゆうみの関係性の説明として、「兄妹」という設定がいちばんラクだった。
拾われた、なんて言えない。
親の身代わり、とも言えるわけもなく。
兄妹……、
自分で言っておいて、こんなにも面白くない気持ちは初めてだ。
「たとえば血縁関係がない兄妹だった、とかだったら!?この展開はアリよね…!?」
「それはお花畑すぎ。どこの少女マンガよ、妄想も大概にしなって」
「…でもさ、似てなくない?」
「ちょっとリンカってば。ニコちゃんに聞こえてたらどうすんの」
「大丈夫だよ~、どうせ聞こえてないしー」
みんな今日も楽しそう。
それほど彼女たちの中心には彼が居るようになった。
学校に来たのも初日だけのはずが、どうにも女子高生たちの記憶にはバッチリ保存されてしまったようなのだ。



