ここまで盛大にやらなくてもいいのに…。
軽くドン引いてしまいそうなくらい、宴会場に豪勢な料理が並んだ。
ジローにまず知らせると舎弟たちに伝わって、気づけばこんなことに。
「ニコっ、ほらさっきの写真!カシラにも見せてやれって!!」
興奮したように手話を使いながら、ジローは満面の笑顔を向けてくる。
昼間学校で撮った写真がたくさん。
4人並ぶには画面いっぱいで、見ているだけで楽しくなってくる。
「……へえ。おまえがいちばんカワイーじゃん」
「ちょっ、唐突な憂ニコは聞いてねーっスよぉぉぉ!!!おまえらっ、聞いたか…!?」
「おおおおう!!!なんだ今の!!突然くるんだよなカシラのデレは…!!」
騒ぎ出す舎弟たち。
「だまれ」と言われてすぐさま畳に寝そべった1人。
今日もこの場所は賑やかだ。
「俺、明日からまた忙しくなるから。ニコのこと頼んだよ矢野」
「承知いたしました。…ですが程々に」
私よりも、彼はその写真を満足げに眺めていた。
それは下駄箱で撮ったもので、“羽倉 ニコ”と書かれた名前が隅に小さく写った1枚だった。



