「ニーーコ!」
「…かいと」
「オレ様が来てやったぞ!!…つっても、ゆーみ兄からの命令なんだけどさ」
高等部に来るのは気が引ける…なんて言いながらも、私のために海人が声をかけに来てくれた。
久しぶりの机と椅子。
久しぶりの黒板。
制服はまだ着慣れないけれど、たったそれだけで嬉しくもあった。
「ま、がんばれよ!」
「…ん」
軽い手話も使うことなくポンっと肩を叩いて、それだけ。
もしかするとクラスメイトたちに緊張することはないと示しに来てくれたのかな…。
簡単な単語であれば読み取れるし、聞こえなくとも返事くらいはできる。
そんなこんなで終わった初日は、まだお友達を作るには時間がかかりそう。
「ちょっと校門見た!?ちょーイケメン!!たぶん芸能人…!!」
「ええっ、なにそれ…!?さっきから騒いでる理由ってそれ!?」
「そうそう!見るからに高級車だし、誰かの迎えっぽいんだけど…!!」
女の子たちが一斉に校内から外へと駆けてゆく。
この流れに押し潰されたくはなかったからゆっくり向かったものの、大注目のお目当てが私だったなんて。



