ぽんっと手が乗せられて、すぐ離れちゃわないように掴む。
小指をきゅっと握ってみると、くいっとわずかに応えてくれたような気がした。
「がっこ……いきたい」
「…送迎は必須。海人には頼りたくないけど、もし学校であいつ以外の男と仲良くしたら俺の仕事が荒くなるよ。とだけ忠告ね」
口数と合わない、“学校たのしんで”という簡単な手話。
「…ありがと……、ゆうみ」
「…いーけど、そっから覗いてるハチローだけは殺す」
「なんでバレた!?!?“初めての喧嘩”ってタイトルで憂ニコ同人誌───ぐはッ!!うう、カシラっ、いくらなんでもつえーっスよ…、あとオレはジロー……」
「ジロー、このフォトフレームになんか適当な写真でも入れといて」
「へっ、あっ、はいっス…?」
お互いが少しちがう顔をして歩み寄っただけ。
たったそれだけで今まで立ち塞がっていた絶対的な壁に、初めてヒビのようなものが入ったとは───。



