「……なに。まさか拗ねてる理由ってそれ?こんなこと?」
「これ…っ、すててっ」
「……………」
どうしよう、気持ちが抑えられない。
言っちゃだめなこと、
言わないようにしていたこと。
歯止めが効かないくらいに次から次に言っているような気がする。
幻滅された、もっと嫌われた、ウザいと思われた。
でも、私が知らないゆうみなんか見たくない。
「…じゃあそれ捨てたら、ニコは俺とずっと一緒にいるんだよ」
「すててっ」
「わかった捨てる。貸して」
「あ……」
パシッと奪われて、フォトフレームから写真だけを抜き取って。
スラックスのポケットから取り出されたジッポライター。
なにをするかと思いきや、庭に出て砂利の上。
「これで満足?お嬢さん」
写真が灰に変わってゆく。
パラパラと無下に散って、本人は過去に執着もせず私を見つめてくる。
「ニコちゃんさあ。…とうとう俺に惚れた?」
“なんて言ったの?”
「……なんも」



