「ニコちゃん。これどーすればいい?」
ドサッと畳に落ちた制服やカバン。
教科書にノート、シャーペンが入ったペンケースまで。
ぜんぶ新品で、まるで高校に通う私のために揃えてくれたみたい。
「行きな、高校」
「…いかない」
「行くんだよ、わかった?」
「……やだ」
「行けって言ってるだろ」
だって私が変わると、あなたも変わってしまう。
それが寂しいだけでここまで意地を張れてしまうなんて。
何よりこうやって構ってくれることが嬉しかったりもする。
こんなこと正直に言えないよ……。
「ぅ…!」
「…わかった?」
片手で頬を掴まれて、むぎゅっと挟まれる。
意地でも私に「うん」を言わせるつもりなんだ、この人も。
「せんとう、きょー…」
「そーだよ戦闘狂だよ。悪いけどこんなやり方しか知らないんだ、俺って」
強引なようで痛みは然程ない。
これが本当に巷で噂されている戦闘狂さんなのだとしたら、誰かが左手で作ったんだと考えてしまう。



