「本当に、いいのか」
「……うん」
「後悔、しないか」
「……しない」
今日も私は使用人としてお仕事をする。
勉強はもうしばらくはいいかな…と、割りきった。
矢野さんやジローは私の選択に納得していないようで、毎度毎度おなじことを聞いてくる。
学校、やっぱり通わない───、
その選択に、ふたりはもちろん驚いていた。
“カシラも実際は裏で動いてくれている。今更それは逆に困るな”
”そうやって動かしちゃってるのが嫌なの。ゆうみに迷惑かけたくない“
”カシラがそうしたいと思ってしていることだ。と言ったら?”
“そんなはずないよ。だってゆうみ、私のこときっと嫌いになっちゃったから”
ワガママを言いすぎた、調子に乗りすぎたの。
ここで暮らして2年が経ったからって、本当の家族になったわけじゃない。
お世話してもらっている身。
生かされている身なんだ、私は。
たかがあたまを撫でてくれなくなっただけで、どうしてこんなにも苦しいんだろう。



