“ニコもいろいろ考えといて。俺もおまえの意思を尊重して動くつもり”
“ありがとう。ゆうみも気をつけてね”
考えなくても出るくらい、手話も流暢になった。
彼はきっと物覚えはいいほうで、実際は勉強もできるんだと思う。
ただ本人がやらないだけ。
やらない道をあえて選んだような。
「それと海人。そこまで友達としてニコを気に入ってくれてんなら……おまえらは一生友達でいるってことね」
「…へ?あっ、ねえ!この煎餅ぜんぶ食っていいー?」
「蹴り飛ばすよ」
「うわっ、うそうそ!!」
ちょっとだけ寂しいな…。
簡単に抱き上げてくれなくなったのは、私も同じくらい成長してるから…?
確かに体重も増えたし、物理的に厳しいかもしれないけれど。
今では舎弟たちとも気兼ねなく話せるようになって、たまに組長である彼のお父さんが来たときは将棋の相手にもなってあげている。
近づくぶんだけ、あなただけがどんどん知らないひとになっていっちゃうみたいだ。



