「…海人。おまえはこの場所が怖くないの?」
「へ?」
「ヤクザが俗世間からどれだけ悪党として見られてるかくらいは知ってるだろ。…親だって心配してんじゃない」
「うーん…、でもオレ、いつもケガすらしないで帰ってくるじゃんか。そりゃあ親も少しは心配してるだろーけど、
オレだってちゃんと言ってんだよ!友達に会いに行ってるだけだって!!」
「………あそ」
こうしてふたりが話しているところを見ると、お互いに変わったな…ってすごく思う。
海人は14歳になって、また背も伸びて子犬のような賑やかさが減った。
もうそこまで子供ではないんだと、ふとした瞬間に突き付けられる。
ゆうみは裏の顔をよく見せるようにもなった。
愛想のいい笑顔とはまた違う、闇を知っている顔。
その顔で海人と話すようにもなって、私のことを子供ではなく……とくに最近は女の子扱いのようなものをしてくる。



