「…おいでよ」
わたしが泣きそうな顔をしていたのか、はたまたあなたが。
隠してくれているつもりか、隠したかったのか。
やさしく引き寄せられた身体は、ぎこちなくも彼の腕のなかに収まった。
「ちょっと、キララと結婚してくれるんじゃないの…!?もうその子は関係ないはずで───キャアッ!いったぁ~い!キララに傷ができたらどうするつもりなの…!」
「うるっせえ!!!カシラがあんな行動するなんて…っ、うぐっ、グスッ、やっぱ憂ニコなんだよ…!!そうだろおまえら!!」
「「「おう!!!」」」
70%の暇つぶしで、残る30%はきっと、同情。
いいの、それで。
それでもいいから。
この時間がずっと続いて欲しいと、思った。
「真実の愛なんかどこにもない。俺だってそんなもの信じてもない。…保身のためなら平気で裏切るのが人間だって、いつからかそう思って生きてるよ」
去年、海で抱きしめられたとき。
この腕は震えていて、抱きしめられている感覚がしなかった。
あのときはむしろ、わたしがゆーみを抱きしめていた。



