すごい……。
ゆーみ、縁談相手さんのことまったく見てもない…。
むしろ何回かわたしと目が合っては、正気を保つようにふわっと微笑んでくれる。
「ねえねえ王子様ぁ~ん!キララに聞きたいことはなぁ~い?」
「いつまでその痛キャラさらけ出すつもり?鏡見たことある?ぶっ飛ばしていい?」
「カシラァ!!!!ぐはァ…ッ!」
ジローの苦労が聞こえなくとも分かる。
今日だけはめいっぱいジローを褒めてあげよう。
お相手さんにゆーみのこぶしが向かわないように、代わりに代表して受け止めているから。
「なあっ、さすがにあれはカシラが不憫すぎるぞ…!!ジローも死んじまう…!雲雀会の切り札ニコっ、いけ!!!」
えっ……?
と、思っているあいだには。
誰かに背中をトンっと押されて、すてんっと姿を現すことに。
「………ニコちゃん」
「なっ、なんなのよその女は……!!キララというお姫様が居ながら…!!」
そこでニヤリと、ゆーみは何かを企む。
「───悪いけど、婚約者ならすでに居るんだよ俺」



