すべて隠すためにマンションまで借りて、嘘ばっかり言ってテキトーに名乗ってトオルになった。
ほんと情けなくて馬鹿だよ俺。
このとき刺青はまだ彫ってなかったから、そこだけが唯一の救い。
『ごめんね…。お料理、あまり得意じゃなくて…』
『うん。…不味い。こんなの食べてくれる男なんか僕くらいじゃないかなあ』
『ひ、ひどい…!一生懸命がんばったのに…!』
『だからさ…、結婚するならたぶん、僕しかいないと思うんだよ』
『っ!』
一緒に暮らして彼女の居場所を作ってやった。
義理の父親から暴力を振るわれてるって聞いたから、守ってやるために。
でも壊れるときって、本当に一瞬でぜんぶがパーになるんだ。
『今まで……、私に嘘、ついてたの…?』
『…ごめん』
『本当に……トオルくんはヤクザの人、なの…?』
『……僕の本当の名前は、羽倉 憂巳。雲雀会の組長をしてる極悪人の……正真正銘息子なんだ』
どんな僕も好きなんでしょ?
ずっと一緒に居てくれるんだよね…?
そう言ってくれたから、アイコちゃんは。



