そこから始まったんだ、そういえば。
話していると本当にふつーの子で、こんな街に来るべきじゃない女の子。
大人しくて控えめで、声が小さいから顔を近づけないとよく聞こえなかったりしてさ。
『あなたはいつも傷だらけだね』
『…僕は逆にそうじゃないとダメなんだ』
『え…?喧嘩なんかダメ…、私はあなたのような優しいひとが好きだよ』
きっとこの子は本当の僕を見たら離れていく。
そう思った俺は何を血迷ったのか、本名を伏せてウィッグまで買って。
馬鹿みたいだろ。
でも、それくらい夢中だったんだよ俺も。
『トオルくん!すごい、こんなに高いおうち初めて…!』
『はしゃぎすぎだよ。アイコちゃん』
『だってすごいから…!でもどうして15歳なのにこんなお金があるの?』
『…親がちょっと会社?経営してて』
『そうなんだね…!』



