「と、トオル…くん。いや……ゆうみ、さん」
「べつに無理しなくていーよ」
「っ、」
そりゃそうだ。
3年も経ってんだから変わるのが普通だ。
としても俺のこと、一応は覚えてたんだ。
おまえが裏切った男だよ。
おまえに無様に裏切られた男だ。
どんな俺だとしても大好き、気持ちは変わらない、なんて平気でほざいて、華麗に振ってきたんだっけ。
まあ俺だって嘘ばかりついてたどうしようもない奴だったんだけど。
女って変わるんだなーって思った。
「アイコ?知り合いなのか…?」
「う、ううん!知らない人よ…、ちょっと道案内してて」
「…そうか」
あたまの良さそうな男だ。
夜にしか生きてはいけないような俺とは正反対の、日の光を真っ当に浴びることが許されるような。
この男となら幸せになれると、普通を生きられると、そこに関しては俺も思った。
「帰ろう。今日はアオイの誕生日パーティーをしなくちゃだからな」
「パーティー!ママっ、いくよ?」
「う、うん」
並んだ温かな影が、俺から遠ざかってゆく。
手を伸ばそうなんてもう、思っちゃいない。



