「あのさあ海人。それがおまえの勉強を教えてもらった人間に対する態度なの?」
「やっ、うそうそ冗談だよ!!怒んなって…!!ごめんなさいってえええ…っ」
ゆーみの視線から逃げるように出ていく姿だけは変わらない。
学生服を着用した男の子が見えなくなるまでじっと見つめて、わたしは瞳を伏せた。
学校…、いいなあ。
本当ならわたしも中学3年生。
「なんでそんな顔向けてんの?」
「っ…!!」
「俺が居んのはこっちだろ」
強引さが最近は優しくなっていたのに、今日はちょっとだけ痛いくらいだ。
ぐいっと無理やり顔の方向を変えられて、パチッと眉目秀麗な21歳と目が合う。
「あーいうのがタイプだとしたらセンス悪すぎるよ、おまえ」
「…おこって、る?」
「…………」
“なにかあったの?”
真剣な話をしたくて手話に変えた。
どこかゆーみの様子がいつも以上に生き急いでいるというか、放っておけない心配が浮かぶ。



