「はあー?わかんねえって!!なんでその計算でその答えになんだよ?」
わからん!!!
と、感情任せに荒い手話で文句を言ってくる少年の名前は、海人(かいと)。
(………めんどくさい)
「あっ、おまえ今ため息ついただろ!!んでもってめんどくさいって思ったろ!!ニコの教え方が下手なんだっつーの!このブス!!」
やんややんやと騒ぎ始めたからもう教えないと、わたしは自分の勉強に取りかかる。
このあとお洗濯ものを取り込んで夕食準備のお手伝いもあるし、わたしだって暇じゃないんだから。
「うそうそうそ!ごめんって…!怒んなってえええ頼むってえええっ」
「うる、さい」
「はあ!?うるさいって、おまえなんかろくに聞こえねえくせ───イッデェェェ!!!」
また一言も二言も余計なことを言ってきたんだ。
そしてわたしの代わりにこぶしを落としてくれたのは、冷たく見下ろす銀髪スーツ姿。



