夕陽、すごく綺麗だよ。
ちょうどゆーみの背後に差し掛かった黄金色が、べっこう飴にも見えて。
力がほとんど出ない震える手でポケットから取り出して、ヘラリと笑ってしまった。
「……なんだよそれ」
ごめん、と、ギリギリで型どって、今度は腕を引っ張られてつよくつよく抱きしめられる。
「…おまえ何個べっこう飴入れてんの。そんな四次元ポケット的な扱いしてんなら、カイロとか出してもらっていい?……風邪引いたらニコちゃんのせいだから」
お腹が凹むことはなくなったよ。
常に空腹を感じていた日々を、ひとりぼっちで寂しい気持ちを、いつの間にか忘れていた。
ぜんぶあなたに出会ったあの日から。
「ニコがそばにいる限りは……仕方ないから俺が守るよ。多少の血は頬っぺたに付くかもだけど、そいつはどうしようもない戦闘狂なんだからそれくらい許容範囲だろ」
14歳と20歳。
家族でも兄妹でもない関係に、まだ答えはいらない。



