書いては消えてしまう砂浜を電子パッドにして、交互に伝えあうメッセージ。
海の音も、波が寄せては返す音も、わたしは知らないけれど。
ふっと目尻を下げるゆーみだけは知っている。
「ゆー、み」
「…なに?」
わたしはあの場所で、知らない人間の写真を2つ見た。
ひとりは綺麗な女性。
あなたといっしょに幸せそうに笑っている女のひと。
もうひとりは、あなたにそっくりな男性。
「………、」
「…なーに?」
ううん、なんでもない。
唇をつぐんで、うつむいて誤魔化した。
「…俺たちって2人になった途端、わりとお互いの顔色伺うとか。…笑える」
14歳と20歳は、近いよ。
近いけど遠いから、どう触れていいのか分からなくなるときがある。
「…ここ来んの久しぶりなんだ、俺」
見知らぬ女性と嬉しそうに写っていたあなたには、ひとつだけ違和感があった。
とても新鮮だった黒髪は、よく見るとその下に銀髪が隠れていたこと。
きれいな銀色を隠してしまう闇が、そこにはあったんだ。



