3人のうち残ったのはメガネをかけたベスト姿の男性と、背中を向けるもうひとり。
足元からゆっくりと上に移す。
─────……あ、きれい。
漆黒のスーツと正反対の銀色は、わたしが普段から感じている世界よりまっしろだった。
そしてガタッと、自ら物音を立ててしまったことにもちろん気づけないのがわたしだ。
「───こんなところに隠れていたようで」
「っ…!!」
埃っぽいなかで被っていた毛布まで剥ぎ取られると、初めて朝日を浴びたように目をしぼめる。
けれど、すべてが暴かれて今。
「…カシラ、探している女はこの女ではありません」
「だろーね。たぶん娘でしょ、その借金女の」
「……なるほど」
押し入れを開けてきたのは、メガネをかけた男だ。
フレームのついていないメガネは漂う威圧感と逆方向でありながらも、なぜかゾクリと身の毛がよだつ。



