なんだろう…。
よく分からないけれど、今日で矢野さんとお別れな気がする。
「…会食については私が話を通しますので、今回のことは見逃していただけると。そもそもスマホを没収したのはカシラです。こういうときのためにも持たせて───」
「へえ俺のせい。あの日はちゃんとニコのこと見てなかったおまえにも非はあると思うんだけど」
そのあと手話だけじゃなく電子パッドでも説明をされた。
突然のお葬式となってしまい、昨夜わたしが寝たあと屋敷は大忙しだったと。
今朝も早朝からバタバタしていて、わたしに目を配ることができない状態だったらしい。
「ゆーみ、…ぃる?」
「いるって」
「ず、っと……ぃる…?」
「…ニコの世界がもっと眩しいものになるまでは、ね」
読み取っている途中で撫でられたあたま。
そんな行動にいちばん驚いているのは、している本人だった。
「…なんでこんなことしてんだろ俺」
さっきもしてくれたよ。
ゆーみ、優しくあたまを撫でてくれたの。



