depot~停車駅~(短編)


その鈴の裏側には、見覚えのある下手くそな自分の字で、『巡』と書かれていた。


甦る、遠い記憶。


「ほら、巡。ジュンって言うんだ。いい名前だろう? ボクが名前を付けてあげる。この鈴の裏に書いておくからね!」


そう言って、その白い首に掛けた、小さな銀の鈴。


嬉しそうに振られた大きな尻尾。