ごちそうさま――。 お気を付けてお帰り下さいね。ライ――。 彼女の、巡の声が聞こえた。 いや、声じゃない。 心に、直接流れ込んだメッセージ。 座っていた筈の場所に彼女の姿が無い。 三畳の狭い駅舎。 俺はその入り口に立っていたのだ。 彼女が出ていけば、気が付かない筈がなかった。