「良かったら、どうぞ。祖母の手作りなんです。ちょっと味が濃いかも知れないけど、美味しいですよ。俺も小腹が空いたので、ちょうど良かった」 若い女の子に手づかみの物を進めるのはどうかと、ちらっと思ったが、彼女は、ぱぁっと顔をほころばせて、いなり寿司を一つ手に取った。 「頂きます」 嬉しそうに、パクッと一口頬張る。 「美味しい……」 本当に美味しそうに、そう呟いた。 「それは良かった」 俺も、ぱくぱくと、いなり寿司を口に運んだ。