夢を見ていた――。 白い子犬と遊んでいる、幼い自分。 夏になるとお祭りがある山向こうの神社。そこで飼われていた白い子犬。 「おいで! ほら、こっち! こっちだよ!」 楽しかった。 黒い大きな瞳の、真っ白な子犬。 体に似合わぬ大きなふさふさした尻尾が、跳ねるたび、ふわりと宙に舞う。