「歩夢さ、鈴見さんのこと好きなの?」
ストレートに訊いてくる男友達の利月(りづき)に、俺は迷わず答えた。
「うん」
ここの階段には俺と利月以外、誰もいないから、聞かれてないはず。
「俺はちょっとタイプじゃないな。
問題児を好きにはなれない」
「問題児ってやめろよ。ホントに」
「そうか、そうか。お前の好きな人だもんな。悪かった」
そういうんじゃない、と反論したかった。
それに、さっき鈴見さんと話したときの誤解を解きたかった。
俺、後悔ばっかりだ。
「そういえば、知ってるか?七夕に、花火大会あるらしいぜ。問題児ちゃんでも誘ってくれば?」
「いい加減問題児ってやめろ…‼︎」
「あー、はいはい。でも、ガチであるから、花火大会。行ってこいよ」
花火大会、か。しかも七夕。いいかもしれない。
俺は次の休み時間、話しかけてみることにした。
「す、鈴見さん…」
鈴見さんは俺を見てギロリと睨むと、
「…何」
と消え入りそうな声で言ってくれた。
無視されなかったことだけが感謝だ。
「あ…ええと」
いきなり花火大会に誘うのはキモいよね。
「はやくして。何?」
「鈴見さんの怜々愛って名前、かわいいよね。女の子らしくて‼︎」
焦って早口で言ってしまった。
何言ってんだ、俺…。
「…私この名前、好きじゃない」
吐き捨てるように、でも少し切なそうに言った。
「ご、ごめん…」
俺がうつむいてそう言うと、いきなりバン、と机に両手をついて立ち上がった。
「あんたはいつも謝ってばっかり‼︎いきなり名前がかわいいとか言うし、何なの⁉︎もしかして…私のあのこと、知ってる?知っててそんなこと言うの⁉︎」
「あの、こと…?」
あのことってなんだろう。
鈴見さんは、本当に怒っているみたいだ。
「…知らないならいい」
鈴見さんが教室を出て行こうとしたのを、とっさに俺は呼び止めていた。
「花火、しよう」
「…は?」
言ったからには仕方ない。もう一回‼︎
「花火、しよう。線香花火とか買ってくるからさ。今日の…7時!学校の前集合ね。約束だから」
「…花火の、約束?」
つぶやく鈴見さんに、俺はうなずく。
「そう」
「……考えておく」
「約束だから!絶対来てね!」
振り返りはしなかったけど、聞こえていたはずだ。
ストレートに訊いてくる男友達の利月(りづき)に、俺は迷わず答えた。
「うん」
ここの階段には俺と利月以外、誰もいないから、聞かれてないはず。
「俺はちょっとタイプじゃないな。
問題児を好きにはなれない」
「問題児ってやめろよ。ホントに」
「そうか、そうか。お前の好きな人だもんな。悪かった」
そういうんじゃない、と反論したかった。
それに、さっき鈴見さんと話したときの誤解を解きたかった。
俺、後悔ばっかりだ。
「そういえば、知ってるか?七夕に、花火大会あるらしいぜ。問題児ちゃんでも誘ってくれば?」
「いい加減問題児ってやめろ…‼︎」
「あー、はいはい。でも、ガチであるから、花火大会。行ってこいよ」
花火大会、か。しかも七夕。いいかもしれない。
俺は次の休み時間、話しかけてみることにした。
「す、鈴見さん…」
鈴見さんは俺を見てギロリと睨むと、
「…何」
と消え入りそうな声で言ってくれた。
無視されなかったことだけが感謝だ。
「あ…ええと」
いきなり花火大会に誘うのはキモいよね。
「はやくして。何?」
「鈴見さんの怜々愛って名前、かわいいよね。女の子らしくて‼︎」
焦って早口で言ってしまった。
何言ってんだ、俺…。
「…私この名前、好きじゃない」
吐き捨てるように、でも少し切なそうに言った。
「ご、ごめん…」
俺がうつむいてそう言うと、いきなりバン、と机に両手をついて立ち上がった。
「あんたはいつも謝ってばっかり‼︎いきなり名前がかわいいとか言うし、何なの⁉︎もしかして…私のあのこと、知ってる?知っててそんなこと言うの⁉︎」
「あの、こと…?」
あのことってなんだろう。
鈴見さんは、本当に怒っているみたいだ。
「…知らないならいい」
鈴見さんが教室を出て行こうとしたのを、とっさに俺は呼び止めていた。
「花火、しよう」
「…は?」
言ったからには仕方ない。もう一回‼︎
「花火、しよう。線香花火とか買ってくるからさ。今日の…7時!学校の前集合ね。約束だから」
「…花火の、約束?」
つぶやく鈴見さんに、俺はうなずく。
「そう」
「……考えておく」
「約束だから!絶対来てね!」
振り返りはしなかったけど、聞こえていたはずだ。

