奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

途端にざわめき始める室内。

彼女が去ってしばらくすると、怯えた表情を浮かべた女の子と、険しい顔つきをした取り巻きが姿を現した。



「何しに来たの?」

「制服を返しに」



護衛気取りの女を押しのけて、陰に隠れている人物に紙袋を突き出した。



「一式クリーニングに出しておいた。遅くなってごめん」

「わざわざありがとう。……別に郵送でも良かったのに」

「直接のほうが安心するだろうと思ったから」



紙袋を開けて中を確認する元クラスメイト──兼、元雇い主。


郵送ではなく手渡しを選んだのは、確実に受け取らせるため。


送料をケチりたかった、配送業者が信用できなかった、みたいな、そんな単純な理由ではなく──。



「全部入ってた?」

「うん。だいじょう、ぶ……っ」