奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

「一緒に金魚のお世話してたんだけど……」

「覚えてる覚えてる。でも、オーストラリアに行ったんじゃ……」

「途中でアメリカに移ったんだ。まさかまた同じ学校になるなんて夢みたいだよ」



キザな台詞を恥ずかしげもなく口にすると、くしゃりと顔をほころばせた。


……髪型が違うだけでこうも変わるんだな。

坊主時代の頃から整った顔立ちではあったけれど、名乗らないと友達でも「どちらさまですか?」と返されそう。

でも、笑った顔は、ちょっと面影あるかも。


8年ぶりの再会を果たしたところで生徒指導室を後にし、校内を回る。

チャイムが鳴って30分以上が経っていたのもあってか、歩いている生徒はほとんどおらず、スムーズに案内することができた。



「ありがとうございました」

「いえいえ。どういたしまして」



ぐるりと一周して、生徒指導室に戻ってきた私たち。スマホで時間を確認すると、17時を過ぎていた。


この時間なら、早くて18時には駅に着きそうかな。

でもあまり遅いとなくなっちゃうから、家に着いたらすぐ出るほうが良さそうだ。