奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

「あのっ、昨日はありがとうございました」



まじまじと見ていたことに気づいて、慌てて頭を下げた。



「それと、すみません。ティッシュ、いただいちゃって」

「ううん。大丈夫だよ」



ゆっくりと顔を上げると、目を細めて優しく微笑んでいた。


お、わぁ……お顔だけでなく歯も綺麗だなんて。

ほとんどの女の子たちは、ここでハートを撃ち抜かれるだろうな。中には気絶する人もいたりして。


ふざけたことを考えて、激しく鳴り続ける心臓から意識を背ける。



「それで……用件とは、なんでしょうか……?」

「学校案内してほしくて」



張り詰めていた緊張が消え、ホッと胸を撫で下ろす。

なんだ、学校案内か。もう、ビックリさせないでよね。



「……ってのは、口実で」

「へ?」

「本当は、乃蒼ちゃんに会いたかったんだ」