奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

ペコッとお辞儀をした美形転校生こと、ポケットティッシュのお兄さん。

目を点にする私を気にかける素振りもなく、先生はヒラヒラと手を振ると、生徒指導室から出ていってしまった。

パタンとドアが閉まり、賑やかだった室内に静寂が訪れる。


先生……いくら忙しいからって、来てすぐバイバイはあんまりではないですか?

確かに顔見知りではありますけど、相手は今日転入して来たばかりの人間ですよ? もし極悪人だったらどうするんですか……!?



「いきなり呼び出してごめんね」

「あぁ……いえ……」



心の中で不満をぶつけていたら話しかけられた。

ドアから視線をずらし、おずおずと彼と顔を合わせる。


……背、高いなぁ。

私もそこそこ高い部類に入るけど、近くだと見上げないと目を合わせられない。

あと、目も鼻も、眉毛も口も輪郭も。全てのパーツが整いすぎている。


1組の人、大丈夫だったかな。というか大丈夫なのかな。

だってこんな、生きる彫刻みたいな人とこれから一緒の教室で過ごすわけでしょ?

隣の席とか前後の席とかになったら、緊張しすぎてまともに授業受けられないと思う。