奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

サァァァと顔から血の気が引いていく。



「知り合い?」

「まぁ……はい。ちょっとした顔見知りで」



動揺しているのが悟られないよう必死に笑顔を貼りつけるけれど、冷や汗が止まらない。


良かった、呼び出す手間が省けて。

そう前向きに捉えられないのは、名指しでの呼び出しだから。

しかも昼休みに聞いたのなら、食事を取った後に頼み込んだということになる。


適当な理由を付けて逃げ出したいが、大丈夫ですよと言ってしまった手前、断るわけにもいかず。

場所を教えてもらい、彼が待つ生徒指導室へ急ぎ足で向かった。



「失礼します」



意を決してノックし、そっとドアを開ける。



「弓崎! 来てくれてありがとうな」

「いえ。遅れてすみません」



にこやかに迎えてくれた生徒指導の先生。

その隣には、異彩のオーラを放つ男子生徒が1人。

気圧されそうになりながらも会釈し、中に入る。



「じゃ、先生はこのへんでいいかな」

「はい。ありがとうございました」