奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

本日十数回目の溜め息をついて、スクールバッグと体操着が入ったトートバッグを肩にかけた。

教卓にいる担任の先生に「さようなら」と挨拶して教室を出ようとしたら……。



「あっ、ちょっと待って」



足を止めて振り向くと、先生が私に向かって手招きしていた。首を傾げつつもUターンする。



「帰り際にごめんなさいね」

「いえ。何か用事ですか?」

「ちょっと頼み事があって。時間大丈夫?」

「はい。大丈夫ですよ」



最悪。っていうかなんで私なの。委員会にも入っていないのに。


内心ブツブツと文句を垂れつつも、「頼み事ってなんですか?」とにこやかに返す。

すると、先生は周囲を見回したのち、私の耳元に顔を寄せてきて……。



「今日、隣のクラスに転校生が来たのは知ってる?」

「は、はい。知ってますけど……」

「その子がね、『弓崎さんに会わせてくれませんか?』って。昼休み、職員室に来てお願いされたの」