奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

食堂でお昼も、いいかもな。

今日はお弁当を作る時間が取れなかったからたまたまだけど、これくらいの値段なら家計に響かなさそうだし。次は醤油味も食べてみようかな。


黙々と食べ進めていると、斜め前のテーブル席に女子2人組がやってきた。

持っているのはしょうが焼き定食。こちらもからあげ定食に並ぶ人気メニューの1つだ。



「はい。どうぞ」

「ありがとう〜! あぁ、これで午後も頑張れる……」

「じゃあ私も。2つとも取っていい?」

「ぜひぜひ! 全部持っていっちゃって!」



こちらに背を向けているため顔は見えないが、どうやら苦手な食べ物を交換し合っている様子。


交換会……懐かしいな。私も去年までは、何人かで机囲んでやってたっけ。

……今となっては、ほろ苦い思い出になってしまったけれど。


談笑する彼女たちから手元に目を戻し、胸の痛みを掻き消すように白ご飯を頬張る。

すると、今度は左隣から……。



「ねぇ、もしかしてあの人って、噂の……?」

「そうじゃない? 緑のネクタイ着けてるし」

「やばっ。想像の100倍かっこいいんだけど」