奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

熟睡中の父を起こさないよう、静かに登校準備を済ませて出発した。満員電車に乗り込んで学校に向かう。



「おはようございます」

「おはよう」



生徒指導の先生に挨拶して校門をくぐり、昇降口へと足を進める。


……なんか、おとなしいな。

視線は感じるのに、悪口が聞こえてこない。


私だと気づいていない……わけじゃあないよね。シャツの色は違うけど、髪型は昨日と同じだし。なんなら化粧もしてないし。


言いたい放題ぶちまけすぎてネタが切れたか? あれからもう2週間ぐらい経つし。飽きが来た可能性もありそう。

あ、それとも、最初からいなかったことにしようみたいな、存在ごと無視するスタイルに切り替えたとか?

昨日の今日だし、あの猫かぶりお嬢様なら一晩で根回しできそうだもんね。


ま、私としては雑音が減るから逆にありがたいけど。


靴を履き替えて階段を上り、廊下を歩く。

その道中でも、視界に映るのは、私をチラッと見るだけの人たち。


え、もしかして本当に……?