奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

翌朝。薄く目を開け、枕元で鳴り出したスマホのアラームを止めた。

寝ぼけ眼のまま起き上がり、制服に着替えて洗面所に向かう。



「ははっ、ひどい顔」



鏡に映った自分の顔を見て、乾いた笑みがこぼれた。


家に着くまでずっと泣いてたからな。ろくにケアもしなかったし。

前髪で隠れるけど、今日は体育があるから一応手当てしておくか。


髪を1つに結び、顔を洗いながら昨日を振り返る。


彼らと別れた後、逃げた方向を中心に捜してみたものの、結局見つけられなかった。


……もう、いないよね。あんな怖い思いしたんだもん。戻ろうとも思わないよね。



「大丈夫かなぁ……」



泣き崩れる私に、おじいさんは『逃げる元気があるなら大丈夫だよ』と言ってくれた。

けど、これからの季節のことを考えると心配でたまらない。

屋根があって、涼しくて、安心して過ごせる場所に避難してるといいな。