奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される

「今日は休みか?」

「発売日だから。受け取れなかったら困るでしょ」



開き直ったように早口で答えながら自転車を停め、父を押しのけて家の中に入った。


『今日は休みか?』か。月初めは毎月休みをもらっていると言ったのに。

生返事だなと思ったらやっぱり聞いてなかったんだな。


靴を脱いでいると、A4サイズの白い封筒が壁に立てかけてあった。

開封して和室に置いた後、キッチンに移動。弁当箱と水筒を出して冷蔵庫を開ける。


ご察しの通り、バイトを辞めたことはまだ伝えていない。


契約満了の円満退職、じゃないもんなぁ……。
濡れ衣を着せられたとはいえ、クビはクビだもん。

正直に話せば問い詰められるし、絶対大事にされる。でも嘘をつくのも……バレたら失望されそうだし……。


……ま、既に失望されているから、今更心配したって意味ないのだけれど。


考えていたら気分が滅入ってきたため、気晴らしも兼ねて買い物に行くことに。

トートバッグと財布、鍵を持って、行きつけのスーパーに足を運んだ。



「今日はいるかな〜?」