檻の中の恋と、奪いに来た君  〜閉じ込める愛か、奪い出す愛か〜


その時だった。

少し離れた場所に立つ一人の姿が目に入る。

他のみんなみたいに騒がない。

静かに立っている。

「……黒瀬琉生」

凛月が名前を呼ぶ。

「挨拶くらいしろ」

すると。

ゆっくりこちらを見る。

黒い髪。

静かな目。

「……よろしく」

それだけ。

でも。

不思議と印象に残った。

「愛想ねぇな」

愛流が笑う。

「いつも通りだろ」

海里が肩をすくめる。