「今度こそ失敗しないでください」 その言葉に。 琉生の目がわずかに見開かれる。 二年前。 蒼依が愛葉へ言った言葉。 ――次は捕まらないでください。 その願いは叶わなかった。 だから今度こそ。 蒼依は背を向ける。 そして最後に一度だけ言った。 「連れて行くなら」 足を止める。 「幸せにしてください」 屋上に静寂が落ちる。 琉生は小さく目を閉じた。 そして。 静かに答えた。 「ああ」 その返事に迷いはなかった。