蒼依は小さく息を吐く。 二年前。 逃げてほしかった。 今も同じだ。 だから。 見なかったことにする。 それが正しいのかは分からない。 ただ。 これ以上傷付く愛葉を見たくなかった。 蒼依は背を向ける。 そして誰にも聞こえない声で呟いた。 「今回だけですよ」 その言葉は。 愛葉に向けたものでも。 琉生に向けたものでもなかった。 まるで。 自分自身に言い聞かせるようだった。