蒼依は何も言わない。
ただ静かに二人を見送る。
そして小さく目を閉じた。
「今度こそ」
誰にも聞こえない声。
「捕まらないでください」
その願いを残して。
二人は夜の闇へ消えていく。
数十分後。
倉庫の中。
凛月が部屋の扉を開けた。
「愛葉」
返事はない。
部屋を見回す。
誰もいない。
空気が凍る。
そして。
窓が開いていることに気付いた。
長い沈黙。
凛月はゆっくり拳を握る。
震えるほど強く。
「……探せ」
低い声。
誰も動けない。
凛月は顔を上げた。
その瞳には狂気にも似た執着が宿っていた。
「愛葉を探せ」
その一言で。
全てが始まった。
――そして二年後。
ようやく見つけた。
俺の愛葉を。


