「凛月」 愛葉は足を止めた。 凛月が振り返る。 心臓がうるさい。 それでも。 初めて口にする。 「私、行きたかった」 凛月の表情が止まる。 「……え?」 「友達と遊ぶの」 震える声。 でも。 ちゃんと言う。 「楽しかったよ」 沈黙が落ちる。 長い長い沈黙。 そして。 凛月は笑った。 「そうか」 その笑顔は。 どこか無理をしているように見えた。 その日初めて。 愛葉は凛月を見て少しだけ怖いと思った。