ようやく終わった採寸に安堵し、隣の部屋でソファーに座り待っていた団長様の方にすぐ戻った。さすがにマダムとの話は絶対に聞かせられないなと思いつつ、平常心でいようと心がけた。
「採寸、完了いたしました」
「そうか」
団長様の近くに立つけれど、私はこの後どうしたらいいのだろうか。これで今日のスケジュールが完了しているのなら、もう帰っていいだろうか?
と、思っていたら団長様はソファーから立ち上がり、マダムを下がらせた。そして私の手を引き、目の前にあるいくつも並べられたドレスを着たマネキンの前に立たせる。
「狩猟大会の時は時間がなくて私が選んでしまったが、本当は君と一緒に選んで、君の着飾った姿を私が最初に見たかったんだ」
「……」
確かに、決まってから狩猟大会当日までの時間はだいぶ短かった。狩猟大会だなんてきっと近衛騎士団長様は大忙しだったことだろう。けれど、その中でドレスを用意するだなんて、余計忙しくさせてしまったかもしれない。
けれど何故、私と一緒に選んで最初に見たかったのだろうか。
「さぁ、どれがいい?」
……今回は私が選ばないといけないらしい。でも、肩を抱き寄せないでほしい。触れられた瞬間肩が上がりそうになってしまい全力で抑えたけれど、気付かれただろうか。
「……右から二番目が、動きやすそうかと思います」
「私は君の好みが知りたい。何色が好きだろうか?」
私の好み。
そう言うのは、やめてほしい。そんな事言われたら……勘違いしそうだ。
そもそもこれはプライベートではなく任務だ。潜入捜査で着る事になるドレスを選びに来たのだから。それを忘れてはいけない。
それに、団長様は私に選べというけれど、流石にドレスを着なさ過ぎて選べと言われてもどう選んだ方がいいのか分からない。ドレスより団服の方がしっくりきてしまうのだから仕方ない。ドレスを着た狩猟大会の日だって、ずっと団服が恋しかったのだから本当に残念なご令嬢だ。



