「あら、うちにはあなたが入団する際に制服の採寸をしたデータがあったから、それを基に制作したのだけれど……何かまずかったかしら?」
「……いえ、何も問題ありません」
そうか、それがあったのか。なるほど、それは大体3年前のものではあるけれど確かにそれを見ればサイズのぴったりなものが作れるか。変に想像した私が馬鹿みたいだ。穴があったら入りたい……
それに、団服はこのブティックが制作しているのも初めて知った。そういうの興味なかったからな……
マダム自ら採寸をしていただいているけれど、だいぶおこがましくはないだろうか。まぁ、極秘なのだから他の者達にやらせるわけにはいかないという事なのかもしれないけれど。
「ふふっ、確かに可愛らしいお嬢さんね。侯爵はこういったご令嬢が好みだったなんて知らなかったわ」
「……」
それは違うと思います。とは、マダムには言えなかった。何故? と聞かれてしまえば答えられないから。遊びですだなんて本当の事を言えば彼の名誉を傷つけてしまうだろう。
いや、一番は……答えたくない、だな。現実を、見たくない。
この国一の騎士でありつつも、とてもお優しく、我々騎士団員達を引っ張ってくださる、我々の憧れの存在、か……
自分で言ったけれど、そう思うと団長様がとても遠く感じるな……
内心ため息を吐きつつも、マダムに言われるがままに動き採寸が進み、完了となった。



