騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


 けれど、マダムの反応につい口をぽかんとしてしまった。


「……ふふっ……ふふふっ……あっははははっ!」

「……へ?」


 笑い出してしまった。私の回答に、そこまで笑う部分があっただろうか。

 いや、いろいろとツッコミどころはあったけれど……マダムがこんなに笑うとは思わず結構ビックリしている。


「あ~おかしいっ……あの方が優しいなんて初めて聞いたわよ~」

「……」

「あんな歩く剣みたいな方にそんなお優しい部分があるのなら、きっと世の中のご令嬢達はこぞって集まるわよ~」


 これは、私が馬鹿にされているのか、それとも団長様が馬鹿にされているのだろうか。

 とりあえず、笑いが止まらないマダムが落ち着くのを待った方がいいのかもしれない。


「あのロドリエス侯爵に男爵家のご令嬢が寄り付くなんて有り得ないと思っていたのだけれど、疑って悪かったわ。ごめんなさいね」

「……いえ」


 疑っていた、のか。とはいえ、寄り付くだなんてとんでもない。私はただ遊ばれているだけ。……とは、口が裂けても言えないが。

 ようやく採寸を始められたのだけれど、先ほどの事でマダムが何を考えているのか全く分からず、どう接したらいいのか分からない。


「あぁそうそう、あのドレス、サイズはどうだったかしら」

「……」


 けれど、その質問に顔が強張ってしまった。確か、ドレスの採寸は全くせず、注文なさった団長様にはああ言われた。サイズはぴったりだから安心してくれ、と。

 不意打ちだったせいもあってつい顔が火照ってしまう。それを見てしまったマダムはクスクスと笑っていて、余計恥ずかしくなった。