騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


「先ほどのお主の対応、大儀であった。足の速い動物であったにもかかわらず参加者達に近づけることなく対処し被害を出さなかった事、主催者として礼を言う」

「も、もったいないお言葉です……」


 え、うそ、ど、どうしてこんな事……?

 陛下は馬車側の被害を騎士団長様に聞いていたけれど、被害は免れたという事を報告されると安堵しているようだった。


「ロドリエス卿、護衛の近衛騎士をもう3人送ってやれ。早急な収束を」

「規則ではございますが、陛下がそうおっしゃってくださるのであればそのように」

「あぁ。決まりではあるが私達の護衛が多すぎるのだ。送ったところでここには近衛騎士団長のお主もいる。それに彼女がいればお釣りがくる。森と会場の間はきっちりとガードを付けたのだろう」

「はい」


 ……ん?

 今、陛下は何と……?


「今森にいるのは騎士団員ではなく狩猟を目的とした者達ばかり。こちらの会場の方角に獲物を逃がしてしまえばこういった事態が起こってしまう。そのための警備員達だったのだが……森で何かが起こっているようだ。お主があの場にいたことは幸運だったな」

「いえ……」


 確かに、騎士団員であるなら周りを警戒し被害を最小限に考え対応するのが基本だ。けれど、その考えを持っていない、今回の大会で優勝するためだけを考えている者達であればこちらの会場に獲物を逃がしてしまう可能性もある。

 警備がどうなっているのか気になるところではあるけれど、近衛騎士団員達が向かったのだから大丈夫だと思う。