そして、全員が入場し国王陛下方もお揃いに。狩猟大会が始まるラッパが鳴らされ、狩猟大会の参加者が森に入っていった。
「マーフィス卿は予測出来ましたか? 今年の優勝者」
「そう、ですね……よく分からないので、難しいですね」
「騎士を務めていると忙しいですからね。それは仕方ありませんね」
同じ寮のご令嬢達とテーブルを囲み、振る舞われたケーキと紅茶を楽しんでいた。
狩猟大会には、王国騎士団所属の者達は参加を禁じられている。それでは他の者達にハンデがあったとしても優勝者は決まってしまい、所属していない者達が優勝なんて出来るわけがないからだ。
長年騎士団をしていると、社交界の事は何となくでしか知らず参加者名簿を見なくては名前すら出てこない。とはいえ、絶対に予測しないといけないわけではないから困りはしないが。
私達から一番遠くにいらっしゃる国王陛下と王妃殿下。その近くに立つ、近衛騎士団騎士団長。
あまり仕事をしている姿を見ないから、何となく新鮮に思う。このドレスを贈ってくれた方なのに、別人に見える。
そう、全くの別人。
いつも、そればかりだった。
私の着ているこのドレスは、今日終わったらどうしたらいいんだろう。女子寮のクローゼットにずっと掛けておく? しわになったら最悪だし。
今だって、しわにならないように、汚さないようにと気を遣ってだいぶ緊張している。こんなドレスは着たことがないから緊張で団服が恋しくなっている最中だ。一体何回心の中でため息を吐いた事か。もうさっさと帰りたい……
けれど、ケーキはとっても美味しい。うちには一応甘党の副団長がいらっしゃって偶にお菓子をおすそ分けしてくれる。とりあえず副団長に言っておこう。交流会で出たケーキ、美味しかったですって。
けれど、その時だった。私は一応耳がいいから、ふと森の方に目を向けると……寒気がした。
「えっ」
「あれ、って……」
「っ……逃げてっ!!」
森から飛び出し、こちらに向かってくる……――小さな動物。
奥からまた二匹出てくる。
待って、違うところからも一匹出てきてる。向かう先には……参加者達が乗ってきた馬車がある。御者達がいるところだ。



