けれど、それでも人に突っかかる事が好きな第二騎士団員達は引かない。まぁ分かってはいたけれど、暇かお前ら。
「マーフィス令嬢、無視はいけませんよ? これだからちゃんと礼儀作法を習っていない令嬢は……」
「……ガストン先輩、何か聞こえましたか?」
「いんや? 虫の羽音じゃね?」
「何だって? ……っ!?」
仕方ないな、と内心ため息を吐いた。煩いからさっさと勝手にメシ持って食ってこい。その意味を込めて、あらかじめカゴに用意されていた食事用のフォークを持ちその煩い彼の喉ぼとけに突き付けた。
いや、騎士団員ならこれくらい避けろよ。それとも何、どうせ相手は女性だからと余裕ぶっこいてるのか。これでは王城騎士の名が泣くぞ。
内心呆れつつも、ビビっている煩い団員の目の前でフォークをくるっと回す。そして、今日一番の満面の笑みを向けた。
「はいどうぞ。まだフォーク取ってないですよね?」
「っ……」
「じゃあ、私達はここで失礼」
食堂のおばちゃんから「大盛りにしといたよ!」と唐揚げ定食を渡してくれたので受け取り、窓側の空いている席に先輩達と座った。
後ろから悔しそうな視線を送ってくる奴らはいるけれど、今日は色々と疲れているんだからこういうのはやめてほしい。
「お前、意外と怖いよな」
「どういう意味ですか、先輩」
「おいガストン、テレシアがナイフを持ってる時にその話はやめた方がいいぞ。ナイフが飛んでくる」
……先輩達の方が酷くないですか?
ふと私は窓を見た。私を見つめる、騎士団服姿の私。本当に、可愛いご令嬢とは全く似ても似つかないな。けれど、それを自ら選んだことに後悔は全くしていない。
私は、自分の意思で剣を握ることを決めた。王城騎士に入団出来たこと、今でも剣を握りこの国のために働いていられる事に、私は誇りを持っているのだから。



